理事長所信

一般社団法人名張青年会議所2019年度

理事長所信

 

第57代理事長 新谷 剛士

 

スローガン 限界突破!~成長を未来の自分に約束しよう~

 

「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」

そうした強い覚悟を持って青年会議所がこの国に生まれた。その創始の精神を同じくする者が相集い力をあわせ、全国に次々と青年会議所(JC)ができていった。それから60余年が経った今、このまちにも名張JCがあり、56年の歴史を紡いできた。この名張JCに私達が入会したことは誰かの命令でもなく、誰かとの約束でもなく、誰かの願望でもない。私達個人の自由な意思で入会し、展開する運動は法人や行政をスポンサーとして費用をもらい、個人や所属企業が富を得るために行われているものではない。20歳から40歳までの指導者たる青年である会員は、未来に期待し、次代の担い手として新しい時代を切り拓いているのである。

 

【すべての仲間たちへ】

私は2011年の第38回JC青年の船「とうかい号」に四日市JCから一般乗船をしたことをきっかけにJCを知った。2011年10月、四日市JCの現役会員だった当時の上司に呼ばれ、「名張JCに入らないか。2012年の理事長は勢いと熱意のある人だからきっと君の成長になると思う。」と言われた。その一言に後押しされ、詳細を聞くこともなく「はい、わかりました。」と答えた。これで入会が決まった。2012年の新年総会が初めての参加で、懇親会では傍若無人に散々暴れまわった決して褒められたはじまりではないJCデビューだった。

入会してからはせっかく入ったのだからと一度も欠かすことなく例会に出席し、出向は断ることなく行き、頼まれた役割はすべて受けた。すでに特別会員であった先輩方との交流も積極的にしてきたし、それをしながらも入会時になんとなくかっこよく見えて憧れた専務理事を、当時の専務理事が理事長をするときにはやりたいという入会初年度に描いた目標も達成した。断ることは誰でもできる一番簡単な自己保身だ。しかし、断らずに受けたからにはやらなければならない状況が生まれる。それをなんとかやる方法を考えて実行してきたことが今の自分を作っていると思う。もう卒業された先輩たちにも今いる現役の仲間にも公私共にたくさん迷惑をかけたし、親身に協力もしてもらった。そして今思うことは「JCに入会する」というたった一度の決断が多くの先輩方や現役会員、他の地方の仲間とのつながりを生み出し、「受けた責任を果たした」ことが以前の自分では考えられない経験と成長を与えてくれたのだ。

創始の頃から時代は流れ、「この焼け野原の復興を絶対にやらなければならない」という使命感を持った青年ではなく、物質的には不自由はないが言いようのない満たされない思いや、今のままでいいのだろうかという漠然とした不安を持った青年が今では多いのではないだろうか。情報過多の現代社会において、結局何をすればいいのか分からず、一歩踏み出すこともできない。そういった青年にこそ我々の活動を知らしめ、仲間になってほしい。

この気力も体力も充実した20代・30代の瞬く間に過ぎる期間を、平日はただひたすら会社と家の往復をし、休日は家でゴロゴロするだけの無為な日々を過ごしていないか。JCは一人で実行するのではなく仲間がいて、仲間からの協力も助言もある。自分で決めた限界で止まらず、それを少し超えた先には違う景色が待っている。

自分のやりたいことを、やるべきことを、魂を燃やして打ち込める何かを、見つける機会がJCにあるのだ。

 

【歴史の継承とブランディング】

56年といえば、私たちにとって祖父母が責任世代であった時代から続いているということである。これだけ長く名張JCが存在しているという事実は、私たちの運動が地域や会員に大きな影響を与え続けてきたことに他ならない。歴史が名張JCの必要性を証明しているということではないだろうか。

これまでの歴史を紐解くと、過去に先輩たちが設置したものや今も継続している事業が数多く残っている。各地域単位でなく市民全員対象となる夏祭りや、現在協力事業として行っている献血推進は我々の先輩たちが最初に組織作り、それを時代の変化に伴って別の団体によって違う形で継続されているのだ。生みの苦しみはもちろんあるだろう。しかし我々は地域の先駆的青年団体として、生み出したもの、漠然と続けてきたものをこれからはどういった形で続けていくのか、必要なことであるのか、検証して次代へつなげていかなければならない。

JCしかない時代からJCもある時代になった今、名張JCは地域に根付いて長らく運動し、常に新陳代謝を繰り返して成熟してきた先駆的青年団体として「名張JCのブランド化」を進めなければならない時期にきていると考える。そのためには積極的に良いものを吸収し、切磋琢磨しあう機会として、他LOMや地域との積極的な交流を行っていきたい。名張JCは個人の研鑽と地域への貢献を柱に、人数や予算等のしがらみの中、知恵を振り絞って必死に活動している。自分たちで企画立案した事業や例会を行い、各地との交流を通じて得た自分たちの努力や成長、作られた人脈や学びを地域や社会や企業へ返していくために成長するきっかけとなる「大人の学び舎」が今の名張JCの姿だと思っている。

これだけ長い歴史があり、様々な事業を先導して行い、社会貢献してきた世界的組織であるにも関わらず、私自身JCを知らなかった。我々が思っているより知名度が低いのだ。これからは「名張JC」という略称での活動を増やし、地域に慣れ親しみ、まちの人から認知され、まちのため人のために運動する、真の意味で地域に浸透した団体へと昇華しよう。そういった真の意味でブランディングを成し遂げるためにも地域の青年たちへ我々の存在を広め、交流を深め、同志を募り、運動を広めていこう。

 

【ひとづくり】

近い未来のことは想像しやすく、遠い未来のことは誰にも分からない。今、この時点で自分が想像できない未来があるということは、今からの行動次第で未来の自分を作れるということに他ならない。しかし現実的に自分の成長なくしては何事も成しえないし、何者にもなれない。指導力という言葉にとらわれず、まちづくりにもつながる知識の習得や経験も重要なファクターのひとつだと思う。例えば農業と福祉の連携である農福連携や、ポスト資本主義社会を具現化しようとするネクストコモンズラボのような取り組みが広がりつつあり、この名張市や隣の宇陀市で事実それが行われている。青年経済人としてそういった新しい取り組みを学ぶ機会も必要ではないだろうか。

我々は世界中に派生している青年団体であり、国内では多くの政治家や企業家との関わりも深い。しかし、どうしても人的要素や予算的要素のような様々な制約があってそのメリットを感じる機会が少ないと思う。著名人の話を聞く機会が持てたとか、政治家や経営者と話せたとか、JCに所属しているというスケールメリットを経験する機会があれば、今後の活動に対する意識変革や手法の幅が広がり、ますます人としての成長ができるのではないだろうか。自分もやりたい、こうなりたい、そういった情熱溢れる心の醸成は組織の力を強くすることにもつながっていく。

そして、成長を起こすには経験が大切だ。例えほんの小さなことでも経験することは必ず自分の力になる。無駄な経験など何一つなく、無駄と思うのは自分の線引きで、それは自ら成長を放棄することにほかならない。どんなことがテーマであっても自分の経験を伝えること、他人の経験を学ぶこと、どれもが自分の力になる。余裕の無さは手間と心を奪い、状況を悪化させる。余裕を生み出すにはより多くの経験と知識を駆使して、想定外の事態にも対応できる能力が必要なのだ。学校では習ってこなかったこと、今の仕事では学ぶ機会のないこと、どんなことでも不要と思わず自分に取り入れることができれば、それが会員の心や資質の更なる向上となり、つまりは指導力につながると確信している。

時間は有限で全員に均等に存在しているものである。何もすることのない時間も必要かもしれないが、JCを通じた地域や人との関わりがあるのだから、少しだけJCに時間を使って、自分の成長につなげてほしい。家族に、会社の仲間に、友人に、胸を張って俺は成長したぞと言えるようになってほしい。人間を磨くのは人間でしかない。ここでしかできない経験というよりも、ここでならできる経験を得る機会が大切だと思う。

 

【まちづくり】

我々はコミュニティを形成して日々の生活を送っている。だからまちづくりは自分のためだけではなく、家族のためであったり、従業員のためであったり、全て他の人のために行うことにつながっている。我々のまちづくりにまず必要なものはそれぞれ郷土への愛情を再認識することではないだろうか。その郷土愛とは住むことが条件ではなく、たとえ離れていてもそのまちに対する思いを持ち続けるような心のありようであり、郷土愛の醸成を行うことはJCで行うべきまちづくりそのものである。

2010年に始まったワンパク広場は今年10回目を迎える。この機会に名称を「JCサマーキャンプ」に改め、どこの誰でもできるものではなく、JCだからこそ行える新しい取り組みを交えた事業として開催したい。計画だけしてボランティア等に任せるような、ただのレクリエーションであれば我々が行う必要もなく、そういったことをしたい他団体を探して引き継げばよい。そうではなく、行政の一部でもあるキッズサポーターを通じて、まちづくりに関心のある人や青少年と我々の協働で行う、将来を見据えた事業を考える過渡期に来ていると感じている。

2018年に開催されたサッカーワールドカップは市内出身選手が出場したこともあり、名張市内でもパブリック・ビューイング等を通じて盛り上がっていた。スポーツによる地域振興はひとつのまちづくりの形であり、継続可能な形で行うべきものであると考える。例えば、日本JCが名蹴会との協働でU-11少年少女全国サッカー大会を行っていることにコミットし、JCの行うスポーツ振興の機会としてうまく利用するためにも継続可能な予選大会の方法や手段を検討してみてはどうだろうか。

すべてのまちづくりは将来のためにある。今この地域をどうするという極小的な範囲の話だけではなく、継続して行わなければ意味がない。一度のみでなく、継続可能な事業や方法を生み出して毎年行い、JCの知名度につながる地域貢献を、継続性のあるレベルの高いものにしていかなければならない。

 

【組織運営】

組織としてのあり方はその時代ごとに所属している人数や、技術的な問題やストレージの変化によって変化してきた。しかし根本的な組織形態は変わること無く続いており、だからこそ長きにわたって存続してきたのである。ロバート議事法を元にした会議進行や、予算を使用するための事業計画の審議といった根本部分は大切にしながらも、現在必要となっていることは実施可否や手法を含めてしっかりと整備していかねばならない。また、会議で言いっぱなしやその場限りの答弁で終わるのではなく、各自が責任を持って議事録を元にした次回会議への参加ができるようにしたい。

インターネットが普及した現在ではホームページを持つことは当たり前であり、それが各々の伝えたいことを発信する広報ツールにもなっているため、積極的な更新がもちろん必要である。しかし、その人しか更新できないのではなく、なるべく多くの人が更新できるようにスキルを身に着けてほしい。継続的に維持できる方法を確立することや、流行を取り入れて流行りのSNSを利用することも必要だと考える。しかし、誰か一人が勝手に行うのではなく、どういったことをどういった意図で宣伝したいのかといった効果を考えた広報が必要であり、そのためには掲載までのスキームをしっかりと作る等の工夫が大切である。今よりこうすればよくなるだろうと知恵と時間を振り絞って成果を出してほしい。

 

【出向】

定款上、会員には例会の出席が義務付けられている。しかし現実には所属委員会の会議はもちろん、各種大会や協力事業等多くの案内が届くだろう。確かに義務は例会だけでその他に参加しなくても、もちろんペナルティはない。だが、名張JCだけでなく三重ブロック協議会や東海地区協議会、日本本会といった大きな範囲での活動にもコミットする場合があるのだ。それは、人的要素である出向者として名張JCの会員を輩出しているからである。そうした名張JCの同志でもある出向者の頑張りには、参加することが力強い応援になる。また、名張JCが行う事業以外への積極的な参加が、近隣都市の青年会議所との交流を含め、名張の枠を超えた大きなスケールメリットを自分に作り出すきっかけとなるかもしれない。

そして、出向は自分の視野を広げ、成長の機会としてまたしてもないチャンスでもある。出向者は名張JCの代表としてそれぞれ出向しているということを自覚し、できうる限り参加し、さぼることなく真摯に出向先の事業に取り組んでいただきたい。

 

【未来の自分に成長を約束する】

JCはどれだけ続けたくとも40歳で卒業を迎える。現在の名張JCは平均30.4歳で入会しており、卒業までに約10年しかない。人生における気力も体力も充実しているはずのこの10年をどう過ごすのかが、その先どうなるのかにつながっているのではないだろうか。JCだけやっていてもいけないし、そのために全てを犠牲にする必要はない。しかし、せっかく決断をして入会したのだから、40歳の自分が「JCをやってきたから成長できたし今の自分がある」と胸を張って言えるように後悔のない日々を過ごす必要があるのではないか。

0.99を365日繰り返せば1年後には0.03であり、1.01を365日繰り返せば37倍になる。昨日より今日、今日より明日が0.01でも成長していれば1年後には大きくなった自分が待っている。JC活動に理由をつけて断るための言い訳は簡単に思いつくだろうし、断って命を取られることもない。

 

どうやったらできるかということを前向きに真剣に考えてほしい。

短絡的で安易な言い訳を作らないでほしい。

スピード感を持って、物事に取り組んでほしい。

 

少しセーブして活動しているのが0.99の自分なのだ。

 

この1年は自分の思う限界点でセーブするのは止めて、ほんの少し限界を超えてみよう。強い意志の力を持って無限の可能性を切り拓ける青年、そんな青年が何人もいる光景こそが地域の未来の姿だと考えればこんなに素晴らしいことはない。

 

ともに進もう、明るい豊かな社会の実現に向け

確かな成長を自分に約束しよう